スカイ・クロラ

先日、mixiの知り合いとスカイ・クロラを観て来ました。
内容が内容なのと、震電を観たかったので、公開劇場が少ない中、走り回ってチケット購入。

押井 守監督の劇場物は、イノセンス以来か。
アヴァロンや別路線の立ち食い等ありますが、あくまでもアニメとしての
押井作品として期待しちょりました。

伏線が点在し、現在のナショナリズム及びグローバリズムを無意識の内に受け入れてしまった日本人にとっては、評価する事すら相当厳しい内容です。
事前知識、歴史知識、戦争知識を持っていないと、楽しめる箇所が恋愛部分に収縮されしまいます。

自分はそれなりの知識を用して挑んだ訳ですが、事前に作品背景等を調べなかったんです。
「押井監督が伝えたいメッセージってのは恐らく…」と一人臆測をたてて挑みました。
結果、押井監督がこの内容にした理由は、自分が想像したものにドンピシャでした。


戦争で商売をする会社の前線基地ウリス基地に前パイロット人狼の代わりとして、主人公 函南優一が配属された所から本編が始まる。

劇中、店で食事をしていたシーンで、ヒロインの草薙水素(この漢字記号が好きだな押井監督は)が主人公 函南優一に言った長セリフ

「戦争とは平和を実感するための必需品…」

このセリフを観覧者全員に説教をするように淡々と語る草薙水素
自分はここでニヤニヤしながら膝を叩いた訳ですが、前席に居たカップルには理解出来ない説教なのでせうw

また、セリフ後、化粧室に化粧と無縁の草薙水素が洗面台で髪を上げ鏡を見つめている時、横から鏡を使用してきた老婦客から口紅を借り、口紅だけ塗って席に戻ってくるシーン。
ここで自分は前の日記で載せた「骨のうたう」の詩を思い出した。

「女は化粧に忙しかった」

自分個人の好みではあるが、女性が化粧をするのは、この後の展開の様な時に口紅を塗るだけで良い。この一連の展開で、自分以外の観覧者も草薙水素を"女性"として観ることが出来た筈だ。


寿命で死ぬ事の無い人間キルドレ
この人種だけが娯楽としての戦争に出される。
前エースパイロット人狼を銃で射殺したと噂される草薙水素
戦死した仲間と同じクセを持つ新任パイロット。

以上が特に自分が怪しいと思った伏線。

自分はこの娯楽としての戦闘と言う設定が、作品に描かれていない様に思えた。
人種差別的な意味合いとして位としか受け止めていなかったが、スタッフロール後、娯楽としての戦争である事が理解出来た。理解は出来たが、実に救いの無い内容になったようにも思うが。

逆にそうでなければならない。

劇中、目が覚める様な一言をサラっと函南優一が言った。
「明日死ぬかもしれない人間が、大人になる必要があるのでしょうか」